インターナショナルコース
スペシャルレポート

SPECIAL REPORT

高校受験スタディより転載

ネイティヴ教員との
対話に基づく授業
国際社会で通用する
英語力を育成

帝京高校では、特進コース、進学コース、アスリートコース、インターナショナルコースの4つを導入。
なかでも近年、高い英語力で進学実績を伸ばしているのがインターナショナルコースだ。「海外留学課程」「英語特化課程」の特長、ネイティヴ教員との対話を中心に進められる授業など、教員と生徒からたっぷり話を聞いた。

生徒インタビュー

多様な価値観の中で培った自信や高い英語力で将来を見つめる

実際にインターナショナルコースで学ぶ、3年生の3人に話を聞いた。

~生徒プロフィール~

<海外留学課程:Hさん>
アメリカのワシントン州に1年間留学。英語検定準1級、TOEIC870点という英語力を持つ。校内で行われる模擬選挙に立候補するなど、帰国後もさまざまな活動に積極的に参加している。

<英語特化課程:Tくん>
国内で英語力を高め、TOEIC810点を取るほどの実力に。そのほか、総合学習のワークショップなどにも積極的に参加しており、3年次の夏は主催者側としてほかの生徒をまとめる役割を担う。

<帰国生:Mくん>
日本と中国のハーフであり、10歳からの4年間、中国で過ごした経験を持つ。高校入学時にTOEIC600点を超えており、その英語力を生かし、第11回全日本高校模擬国連大会に出場。

―― インターナショナルコースを選んだ理由と学校生活の様子を教えてください

<海外留学課程:Hさん> 私は中学生の頃から1年間留学したいと思っていたので、それが叶う学校を探していました。帝京高校の進学相談に訪れた時に、インターナショナルコースの先生が「留学したいなら、こういう留学斡旋団体を探した方がいいよ」と親身に相談にのってくれたんです。
高校入学後、留学の準備も学校側がサポートしてくれると知り、集中して留学に臨めると思い、帝京高校への進学を決めました。

実際に、1年次の7月中旬から留学し、2年次の6月末に帰国しました。
留学先のワシントンでは公立高校に通いましたが、勉強面は周囲についていくのに必死でした。特にもともとの知識がなかったアメリカ史の授業は本当に大変で、帰宅後も勉強をしていました。
友達づくりは最初の1~2カ月ほどは悩みもしましたが、ダンス部に入ったことで友達もできました。さまざまな国の人が集まっていたので、自分で留学生だと言わないと分からないほど馴染んでいたと思います。
クリスマスなど、日本とは全く違う文化に触れることもでき、留学1年間のすべてが楽しい経験でした。

<英語特化課程:Tくん> 僕は兄が2人いるのですが、2人とも留学経験があるので、僕も中学生の頃から留学に興味がありました。でも、高校入試直前になってから留学について考え始めたので、留学できるコースに進学して本格的に準備をするという時間がなかったんです。そこで、留学せずに好きな英語の力を伸ばせる学校を探していました。
偶然、通っていた塾に帝京高校の先生が来てインターナショナルコースの紹介をしていたのを聞き、「この学校しかない!」と思いました。「英語特化課程」が開設されたばかりで新しいという期待感もあり、自分の英語力をどれだけ伸ばせるか試してみたいと思ったんです。

入学後、1年次のスタート時点では英語が全然話せなかった「海外留学課程」のクラスメイトが、留学先で高い英語力を身につけて帰国するであろうことに少し焦りがありました。だからこそ、自分もついていけるようにがんばろう!と、1年次から勉強に力を入れていました。2年次に英語検定2級を取得したり、高得点を目指してTOEICにチャレンジしたりしています。

<帰国生:Mくん> 僕は中国から帰国した後、地元の公立中学校に通っていましたが、なんとなく自分がクラスで浮いているような気がして。もっといろいろな国や考え方の人がいる環境に身を置きたいと思い、それが叶う高校を探していました。
帝京高校はインターナショナルコースに力を入れていること、留学生や帰国生も多いことから、進学を決めました。
実際、僕と同じように中国語を話せる人がいたり、韓国からの留学生と交流したりと、思い描いていた通りの環境です。

2年次では、英語劇でリーダーを務めました。お気に入りのアメリカ映画を題材にオリジナルの台本を英語でつくったのですが、クラスの仲間は一人ひとりの個性が強く、みんな自分の意見をはっきり言うので、まとめるのに苦労しました。
生徒同士だけでなく、生徒と先生の間でも意見がぶつかり合うことがありましたが、みんなで力を合わせて成功させることができ、終わった後は生徒も先生も涙を流すほど感動しました。

毎年、2年生が行う英語劇。クラスが一つになり、成功をおさめた

―― インターナショナルコースの魅力はどんなところにありますか?

<英語特化課程:Tくん> インターナショナルコースは、常に英語が身近にある環境です。
帰国生や留学生、ネイティヴの先生との関わりが多く、英語を使う頻度が高いので、自然と英語や国際文化に興味・関心がわき、勉強意欲がどんどん上がっていきます。

文化や宗教の違いに触れ、「こんな考え方もあるんだ」と気づくことも多く、自分との違いを受け入れられるようになるほど価値観が変わりました。

<帰国生:Mくん> クラスには僕のような帰国生や留学生が多く、南アフリカ、オーストラリア、ドイツ、ハワイ、韓国など、国はもちろん、宗教もさまざまな生徒が集まっています。
一人ひとりの個性が強く、生活習慣や価値観の違いから意見がぶつかることもありますが、みんながお互いを認め合う姿勢を持っています。

<海外留学課程:Hさん> お互いを認め合っているので、クラス内でグループに分かれていたり、いわゆるスクールカーストがあったり、ということがないのも特長ですね。
それぞれ苦手なことがあったとしても、「この分野を得意としているのはこの人」ということもみんなが理解しているんです。

多様性を受け入れ、各々の個性が光る/文化祭の様子

<英語特化課程:Tくん> それぞれがいい個性を持っていることを認識しているので、差別などもなく、一人ひとりが輝いているクラスだと僕は思っています。
なぜ、一人ひとりの特性を理解できているかと言うと、インターナショナルコースは自分の個性を発揮する機会がとても多いんです。

授業の中で英語を使ってグループディスカッションや発表をしたり、模擬国連ではすべて英語でプレゼンしたり。こういう経験を通して一人ひとりがどんな考えを持っているのか、どんな才能を持っているのかを知ることができるんです。

担当する国の国際問題を英語でプレゼンテーションする模擬国連、それぞれが担当国の大使になりきり国際問題の解決策を見つける

―― 高校生活を通してどんな英語力が身につきましたか?

<海外留学課程:Hさん> 西洋文化史という授業では、ネイティヴの先生が世界史を英語で教えてくれるのですが、私は留学先の学校の授業で学んだ知識をそのまま使え、世界史ならではの専門用語も身についてとても勉強になりました。
インターナショナルコースでは、英会話を中心に“受験に必要な英語”だけでなく、実用的な英語を身につけることができると思います。

<帰国生:Mくん> 僕は高校生活で英語でのプレゼンテーションスキルを身につけることを目標にしていました。将来的にも英語でのプレゼンテーション力は役に立つと思っていたからです。
授業でのプレゼンテーションや模擬国連での経験を通して、その力を身につけられたと感じています。
周りのみんなも、いかに分かりやすい言葉を使って相手を納得させるかということができるようになっていると思います。

Mくんは、第11回全日本高校模擬国連大会で活躍

<英語特化課程:Tくん> 英語でのプレゼンテーションに関しては、話すテンポによって相手に伝わらないことがあるという経験もし、英語の発音の正確さだけでなく、どこで切ってどこで間を取るかという相手に伝わりやすい話し方のスキルも伸ばすことができるようになったと感じています。

ほかにも、ネイティヴの先生の授業では、生徒同士の会話も基本すべて英語で行いますが、グループディスカッションが中心の授業なので、分からなくても周りに聞くことができ、お互い高め合うことができています。

―― 将来の夢を教えてください

<海外留学課程:Hさん> 留学からの帰国後、政治経済の授業や、授業内の模擬国連で各国の政治に興味を持つようになり、総合学習の一環の模擬選挙に立候補をしました。
模擬選挙では、どうしたら日本が良くなるのかを考え、政策を立ててみんなの前で演説をし、投票してもらうという、まさに選挙そのものの活動をします。
その活動の中で、民主主義の在り方とは何かを考え、過去の哲学者が考えてきた社会の成り立ちにも興味を持つようになったんです。
そうした経験から、将来は政治哲学を学び、ジャーナリストになりたいと思っています。

<英語特化課程:Tくん> まずはインターナショナルコースで養った、違う価値観を受け入れる力を活かせるよう、多様な人が集まるグローバル系の大学への進学を考えています。
そして留学して、高校3年間で培った英語力を思いきり「発散」させたいです。「発散」という言葉がぴったりくるほど、今まで身につけてきた英語力を発揮して、もっと力を高めたいという気持ちでうずうずしているんです。
将来は、今後、多様化する社会の中でどうやって人々を束ねていくのかという観点で、組織論や人的資源管理を研究したいと思っています。そして、グローバル化する中小企業の経営コンサルタントとして貢献したいと考えています。

<帰国生:Mくん> 会社経営者として国を超えて仕事をしている父のような仕事にも興味がありますが、ただ経営の知識を勉強するだけでなく、リーダーとして人の上に立てる力をつけたいと思っています。
現在、中国で活躍している人は、中国語が話せるだけでなく、日本語や英語もでき、理系の人が多いと感じています。僕も世界で活躍できる人になれるよう、まずは薬学部への進学を目標にしています。

授業レポート

ネイティヴ教員との関わりの中で生徒が主体的に学ぶカリキュラム

英語、時事英語、西洋文化史、国際関係など英語に関連する授業は、基本的にネイティヴ教員との対話を中心にすべてが英語で行われている。
ほかにも、ロングホームルームに加え、音楽の授業で英語の歌を習ったり、家庭科の授業では留学先で振る舞うちらし寿司をつくる授業を英語で行ったりと、ネイティヴ教員があらゆる形で関わり、生徒一人ひとりが主体的に学ぶ環境が整っている。

例えば、2年次の西洋文化史の授業。ネイティヴ教員が2人、日本人教員が1人、合計3人の教員がすべて英語で授業を進めていく。

授業の説明もすべて英語で行われる。この日はローマ時代を学ぶ

クラスは20名ほどの少人数なので、グループワーク中も教員が密に指導。教員が出題する質問にどのグループが一番に回答できるかをゲーム形式で行ったり、教員から提示されるテーマについて議論し、文章を書き、皆の前で発表したりする。これらすべてが英語で行われる。

コロッセオでの闘技会をモチーフにした、ローマ時代を学ぶ授業ならではのゲームに教室が盛り上がる

グループで議論した内容を英文でまとめ、授業の最後には英語で発表を行う

帝京高校では、総務省、外務省、文部科学省及び一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の協力の下に実施されるJETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業※The Japan Exchange and Teaching Programmeの略称)の参加者をネイティヴ教員として受け入れている。

JETプログラムとは、主に海外の青年を招致し、地方自治体、教育委員会及び全国の小・中学校や高等学校で国際交流の業務と外国語教育に携わることにより、地域レベルでの草の根の国際化を推進することを目的としたもの(JET PROGRAMMEのHPより)。

ネイティヴ教員のうち1人は、このJETプログラムの参加者。授業を行うことはできないが、サポート役として生徒に関わる。

また、授業以外の時間も活用し、ネイティヴ教員とのコミュニケーションで英語力を高めることができる。
休み時間になると、ホームルーム教室に隣接する英語ラウンジには、常駐するネイティヴ教員に質問や相談をするほか、ちょっとした会話を楽しみに訪れる生徒が多くいる。
英語ラウンジはオープンな雰囲気で、だれもが気軽に訪れやすい。

1年次のランチミーティングでは、ランチを食べながらネイティヴ教員との会話を通して実践的な英語を楽しく学んでいる。

その日のテーマを決めて議論をしたり、ゲームをしながら英語に親しんだり。授業とは違った和やかな雰囲気の中で、英語で考えて話すことを定着させていく。
特に「海外留学課程」の生徒にとっては、入学してから留学するまでの期間に少しでも英語を話すことに慣れるために有効な時間だという。

教員インタビュー

実践的な英語力や自己表現力で難関大学からの評価も

グローバル化する社会で活躍するためのスキルを身につけられる、と注目を集めているのが、各学校の“国際”“グローバル”“インターナショナル”などの名前のつくコース。帝京高校のインターナショナルコースでは、英語を通してグローバル社会で役立つ国際的視野、プレゼンテーション力、コミュニケーション力などを育てているという。その詳細をインターナショナルコース主任の古谷先生と伊藤先生に聞いた。

伊藤先生(左)と古谷先生(右)

―― まず、インターナショナルコースについて教えてください

本校では、平成10年からインターナショナルコースを開設し、高い英語力を身につけられる環境を整えてきました。現在、1年次から2年次にかけて英語圏現地校に留学する「海外留学課程」と、留学をせずに国内で英語力向上に邁進する「英語特化課程」を用意しています。どちらの課程を希望するかは、出願時に選択していただきます。

私たちは、「自分で考え、自分で行動できる人材」を育成することを目標としています。そのため、どちらの課程でも基礎学力をきちんとつけた上で、英語を通して自己をどう表現し、世界の人々とどうつながっていくかに重きを置き、今後の国際社会で活躍できる“一歩”となる力をつけられるようなカリキュラムを組んでいます。

また、各学年1クラスで20名程度という少人数制を採用しており、各教科の教員と生徒の距離が近いのも特長です。(伊藤先生)

授業では英語でのプレゼンテーションを通して、自己表現力を磨く

―― 国公立大・難関私大を目指す、特進コースとの違いは?

インターナショナルコースならではの授業として、時事英語、西洋文化史、国際関係、TOEFL・TOEIC演習などがあります。基本的に英語関連の授業は、ネイティヴ教員や生徒同士のやりとりも含め、すべて英語で行います。
英文を書いて英語で発表したり、英語で議論を交わしたりと、学校生活の多くのシーンがネイティヴ教員との英語対話をベースに成り立っています。
そのため、より実践的な英語力を身につけることができると言えます。

海外からの帰国生や留学生も積極的に受け入れているので、海外の文化や歴史に触れる機会が多く、国際色豊かな環境に身を置いて学ぶことができるのがインターナショナルコースの特長です。(古谷先生)

英語に関連した授業は、生徒同士のディスカッションも英語で行われる

――「海外留学課程」について詳しく教えてください

1年次の1学期終了後から留学し、2年次の9月頃に帰国します。アメリカやカナダ、オーストラリアなど日本語が通用しない環境に1年間身を置くことで、実践的な英語力が身につき、文化や価値観の異なる相手を理解しようとする姿勢も育まれます。

ちなみに、留学にかかる費用は留学する国によって異なりますが、例えば、アメリカに留学する場合、渡航費や現地でのホームステイ費用、食費、学費として約150万円がかかります。
なお、生活環境による個人差は有りますが、現地での生活費を合わせると220万円~250万円ほどになるでしょうか。

帰国後は、留学で得た興味や関心を深めていきながら、日本が抱えている政治や経済、環境や福祉などの諸問題を、地歴公民などの教科を通じて実践的に考えるカリキュラムになっています。
具体的には、英語を使ったディベートやプレゼンテーションで自己主張能力を伸ばすほか、小論文を通して論理的な思考力も身につけていきます。
そのような取り組みのなかで生徒が自らの進路を見つけ、磨きをかけた英語力と国際的視野を武器に目標とする進路にチャレンジしています。(古谷先生)

――「英語特化課程」ではどうやって英語力を養っているのでしょうか?

「留学はちょっと…。でも、英語力を伸ばしたい」という生徒に選ばれているのが留学を必要としない「英語特化課程」です。
この課程では、国内にいながらにしてたくさんの英語のシャワーを浴び、主体的に英語力を身につけられる環境を整えています。

例えば、英語関連の授業はもちろん、音楽や家庭科の授業、ロングホームルームにもネイティヴ教員が参加するなど、ネイティヴ教員による指導を充実させています。
また、ホームルーム教室に隣接する英語ラウンジには、ネイティヴ教員が常駐し、休み時間などの空き時間を活用した自由英会話でオーラルコミュニケーション能力を育てています。

そうした環境の中で、TOEIC800点以上、TOEFL iBT80点以上、英語検定準1級以上の英語力を身につけることを目指しています。
さらに、英語スピーチコンテストや小論文コンテスト、模擬国連へ積極的に参加し、活躍する生徒が多くいます。

生徒も「留学組に負けたくない」と、自主的に学ぶ意欲にあふれ、互いに切磋琢磨して力をつけています。(古谷先生)

インターナショナルコースの生徒も活躍する全日本高校模擬国連大会

―― 生徒の進路実績は?

AO入試や推薦入試に強いのもインターナショナルコースの特長のひとつです。
卒業生の実績は大学からも評価され、現在では上智大学の指定校推薦枠を4名いただいています。

「高い英語力」と対話形式の授業で培った「深く考える力」や「コミュニケーション能力」を武器に、AO入試、推薦入試で確かな実績を残し、上位校への入学も定着しつつあります。(伊藤先生)

ネイティヴ教員と距離が近く、留学の有無を問わず3年間たっぷりと英語や異文化に触れながら、論理的に考える力や自己表現力、コミュニケーション力を培うカリキュラム。
このカリキュラムで英語力を高めてきた3年生へのインタビューでは、多様性を受け入れる力や価値観を備えた彼らが、いかに広い視野で社会を捉えて未来を見据えているのかが分かった。
また、自分の考えや目標をまっすぐに語る姿に、3年間で培った確かな自信も見ることができ、帝京高校のインターナショナルコースでの学びの質の確かさを感じた。

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